和也の本棚
感想

久しぶりに一気読みしてしまった。仕事で疲れた夜、軽い気持ちで手にした文庫本がこんなに引き込まれるとは予想外だった。 登場人物たちがみな、どこか世間からはみ出した人物ばかり。泥棒、神を求める青年、不倫に溺れる女性、失業者——社会の縁周で生きる彼らの物語が、複雑に絡み合いながら進んでいく。最初は無関係に思える四つの話が、いつの間にかつながっていく感覚が心地よい。 驚いたのは、こうした重くなりそうなテーマを著者は軽妙な筆致で扱っているということ。機知に富んだ会話のやりとりが随所に散りばめられていて、思わず苦笑いさせられる場面も多い。管理職として部下たちを見ていると、誰もが何らかの葛藤や秘密を抱えているんだろうと感じるが、この作品はそうした人間の本質をうまく捉えている気がする。 ラスト近くの展開は本当に予想外。最後の数十ページは一気にめくってしまった。こういう「やられた」感覚、久しぶりだ。週末にのんびり読むのにぴったりの一冊だと思う。

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