阿部の本棚
オールド台中食べ歩き歴史小説家が案内する老舗屋台の味

オールド台中食べ歩き歴史小説家が案内する老舗屋台の味

楊 双子 / 木内 貴子 / ナショナル ジオグラフィック 日経ナショナルジオグラフィック社 2026年2月12日

感想

『台湾漫遊鉄道のふたり』で楊双子のファンになったので、この本も期待を込めて手に取りました。台中の屋台グルメを通じて、歴史や文化を浮かび上がらせるというコンセプトは魅力的です。 実際に読んでみると、著者が厳選した20軒の屋台についての描写は丁寧で、一軒一軒の背景にある物語や台中の歴史への向き合い方には誠実さが感じられます。単なるグルメガイドではなく、エッセイとしての深さを目指そうとする姿勢は伝わってきました。 ただ、正直なところ、小説と比べるとやや物足りなさが残ります。屋台の歴史や由来の説明が時に冗長に感じられたり、個々の話題がそこまで有機的には繋がらない印象を受けたりしました。グルメエッセイとしての完成度は及第点ですが、楊双子の小説で見られるような鮮烈な人間描写や物語性の面白さには、どうしても劣って見えてしまいます。 台中という場所への愛情は十分伝わってくる一冊ですが、期待値次第で評価は変わるかもしれません。

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