しんの本棚
税と権力

税と権力

似鳥 雄一 早稲田大学出版部 2025年12月24日

感想

中世の荘園制を通じて税と権力の本質に迫るという、興味深いテーマの一冊でした。著者の専門的知見と最新の研究成果を活かそうとする意欲は十分に伝わってくるのですが、正直なところ期待値との乖離が大きかったです。 確かに、納税者たちが「大人しく」税を納めていたわけではないという問題提起は秀逸です。彼らが領主に求めた見返りや、その交換関係のダイナミズムを描き出そうとする試みも評価できます。ただ、その過程で論述が非常に細分化されてしまい、全体像が見えにくくなっているような印象を受けました。 新書というフォーマットの制約もあるのでしょうが、各章の議論が散発的で、筆者の主張する「税の本質」や「人間社会の本質」へと読者を導く道筋が曖昧に感じられます。荘園経営の具体的事例は豊富ですが、それらが最終的にどう室町幕府へと繋がるのかも、説得力を持って示されていないような気がします。 専門的な読者であればこそ、もう少し議論の整理と精選を求めずにはいられませんでした。

ブクログからブクマへ
かんたん引っ越し

読書記録や感想をそのまま移行。
数分の準備で、ブクログの本棚をブクマへ。

詳しく見る
ブクログからブクマへの引っ越しイメージ