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自己との対話 社会学者、じぶんのAIと戦う

自己との対話 社会学者、じぶんのAIと戦う

吉見 俊哉 集英社 2025年12月17日

感想

AI時代において人間の本質的価値とは何か——この根源的な問いに真摯に向き合った一冊として、本書は非常に示唆的だった。 吉見俊哉が自身の著作を学習させたAIと対話するという斬新な試みは、単なる奇抜な企画ではなく、社会学という学問の本来的な営みを浮き彫りにしている。AI「吉見くん」との問答を通じて、創造的思考、文脈の理解、歴史的洞察といった人間特有の知的営為がいかに貴重であるかが明らかになる。 新社会人として働き始めた今、AI時代における職業人としてのあり方を考える上で、本書の議論は極めて実用的だ。決してテクノロジーの脅威論に陥らず、人間にしかできない思考様式を丹念に掘り下げるその姿勢が素晴らしい。 短編ながら密度の高い思考が凝縮されており、読むたびに新しい視点が得られる。社会や教育、都市といった多岐にわたるテーマも扱われているため、人文系の関心が深い読者にとっては非常に価値のある作品である。現代を生きるための知的指標となる一冊だ。