しんの本棚
言霊の幸わう国 言葉の力で世界を変える

言霊の幸わう国 言葉の力で世界を変える

並木良和 扶桑社 2026年3月3日

新社会人として職場に出るようになり、言葉の影響力をより強く感じるようになった。このタイミングでこの本と出会えたのは、ある意味運命かもしれない。 著者の主張は一見スピリチュアルに見えるかもしれないが、柿本人麻呂の万葉集の一節から始まる論理展開は実に興味深い。日本語という言語に根ざした「言霊」という概念を、古典の知見と現代の課題意識で丁寧に紐解いていく。SNS全盛期における言葉の乱れへの警告は、デジタルネイティブな我々だからこそ真摯に受け止める価値がある。 特に印象的だったのは、単なる精神論ではなく、実践的なワークや音声ガイドが付属している点だ。読んで理解するだけでなく、実際に言葉を使う際の心構えを身につけられる構成になっている。職場での報告書作成やメール対応といった日常業務でも、この視点は活かせそうだ。 古典の思想を現代に解釈し直す試みとして、十分な価値がある一冊。思想書の読み手としては、もう一段階の深掘りを期待する部分もあるが、その点を差し引いても満足度の高い読書体験だった。