本大好きおじさんの本棚
アジア 食の旅、病の地図

アジア 食の旅、病の地図

佐々木 敏 女子栄養大学出版部 2026年3月30日

感想

医療の現場にいると、患者さんの食習慣と健康状態の関連性について考えさせられることが多いのです。この本はそうした疑問に対して、とても興味深い答えを与えてくれました。 アジア各地を巡りながら、なぜその土地の人々がその食べ方を選んできたのかを、栄養疫学という視点から丁寧に解き明かしていく。ラオスの寄生虫問題、カンボジアの「鉄の魚」の取り組み、韓国と胃がんの関係……どれも目からウロコが落ちる話ばかり。単なる栄養学の教科書ではなく、実際の市場や屋台の風景が浮かぶようなリアルな記述と、研究データが見事に融合しています。 著者が旅を通じて見つめた「民族の健康戦略」という概念が素敵でした。食べ物は文化であり、同時に人々が生き延びるための知恵の結晶なんだと改めて感じました。専門知識がなくても読みやすく、それでいて深い学びがある。医療従事者として、そして一人の人間として、食べることの意味をもう一度考え直させてくれた良書です。

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