はるとの本棚
感想

職場の同僚が強く勧めてくれたので、思い切って手に取ってみました。正直なところ、こういった衝撃系の話題作には慎重になるタイプなのですが、読み始めたら一気でした。 視点が次々と切り替わるという構成は、最初は戸惑いましたが、それが物語の奥深さを引き出すための精密な設計だったことに気づきます。母親、生徒、親友、加害者の親……各視点から同じ事件が異なる色合いで描かれていく過程で、単純な「犯人と被害者」という二項対立では収まらない複雑な人間関係が浮かび上がってくる。 エンジニアの立場から見ると、物語全体の構造設計に感心させられました。情報が巧妙に配置され、読者の予想を何度も裏切りながら、最終的に全体像へ導く。その完成度の高さは、プログラムの最適化を目指す身としても学べるものがありました。 ただし内容は重く、登場人物たちの心理描写は容赦がありません。それでもだからこそ、この作品が多くの人に読まれ、議論を呼んだのだと納得できます。本屋大賞受賞作の実力を実感した一冊。

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