洋子の本棚
感想

江戸時代の武士がどのように家計をやりくりしていたのか、という素朴な疑問から手に取った一冊です。金沢藩士の家計簿という一次資料をもとに、当時の経済状況をリアルに描き出す手法は確かに興味深いものでした。 ただ、正直なところ、期待していた以上の発見は得られませんでした。書籍説明では「現代の問題と重なる」と謳われていますが、実際に読むと、江戸時代と現代の社会構造の違いが大きすぎて、その対比がそこまで深い教訓を与えてくれるようには感じません。家計簿の数字の解説自体は丁寧ですが、それがどう現代に生きるのか、という部分が曖昧なままで終わる印象です。 家計管理に興味がある方や歴史愛好家には価値のある資料だと思いますが、より広い読者層を惹きつけるほどの圧倒的な面白さがあるわけではないでしょう。「へえ、そうなんだ」という発見の連続ではなく、「まあ、そうだろうね」という予想通りの話が多いのが正直な感想です。新潮新書としては標準的な一冊というところでしょうか。