洋子の本棚
本質観取の教科書 みんなの納得を生み出す対話

本質観取の教科書 みんなの納得を生み出す対話

苫野 一徳 / 岩内 章太郎 / 稲垣 みどり 集英社 2025年11月17日

感想

最近、SNSでの意見対立や家族間の価値観の違いについて考える機会が増えていたので、この本に惹かれました。 「本質観取」という聞き慣れない言葉でしたが、要するに相手の根底にある本当の考えを理解しようとする対話法なんですね。著者は難しい哲学概念を、実生活で起こりうる具体的な例を使ってとても丁寧に説明してくれます。 特に印象的だったのは、対立する双方が「正しい」と思っている事例の扱い方です。単なる妥協点を見つけるのではなく、相手がなぜそう考えるのかという背景にある価値観まで掘り下げることの大切さが腑に落ちました。付属のワークシートも実用的で、子どもとの関係や近所の方との付き合いの中でも活用できそうです。 ただ、実際の深刻な信念対立ではここまで理想的には進まないだろう、という現実的な疑問が残りました。それでも、試す価値のある対話技法だと思います。民主主義社会を作っていく基礎となる「聞く姿勢」を改めて考えさせてくれた、意義深い一冊でした。