洋子の本棚
七つの指輪の誓い(上)

七つの指輪の誓い(上)

ノーラ・ロバーツ / 香山 栞 扶桑社 2026年2月3日

感想

「失われた花嫁」シリーズの完結編ということで期待を持って手に取りました。呪われた屋敷と七人の花嫁という設定は確かに魅力的で、ゴシック小説としての雰囲気づくりはなかなか上手だと感じます。 ただ、読み進めてみると、タイムスリップの設定や呪いの謎解きが、少々予想の範囲内に収まってしまう印象を受けました。登場人物たちの心理描写もあっさり気味で、もっと複雑な感情の絡み合いがあれば、より深みのある物語になったのではないかと思います。 エンタテインメント性としては及第点ですが、人文的な奥行きや、読者を唸らせるような意外性に欠けているように感じられました。装丁の美しさと世界観の構築力は評価できるものの、全体的には「きちんとまとまった娯楽作品」という域を出ていない気がします。シリーズを追ってきた読者であれば満足できるかもしれませんが、この一冊単体では、やや物足りなさが残りました。