れんの本棚
感想

新潮社の話題作『戦慄』を読み終わった。実話を基にした事件小説で、ここ数年のベストセラーリストにも登場していたので、前から気になっていた作品だ。 福岡で起きた失踪事件と誘拐事件という二つの事件を軸に、ノンフィクション作家の視点で真相に迫るストーリー構成になっている。最初は別々に思える事件が、徐々に繋がり始め、その中で浮かび上がる人物像や証拠の断片がしっかり積み重ねられていく。実話ベースということもあり、フィクションの枠を超えた生々しさと説得力がある。 特に印象的だったのは、靴という一見些細な物証が重要な意味を持つくだり。こうした細部へのこだわりが、事件の本質を照らし出すアプローチは秀逸だ。読み進むにつれて、登場人物たちの行動原理や事件の背景への疑問が深まり、ページをめくる手が止まらなくなった。 完全には明かされない部分もあり、それが現実の事件という重みをより感じさせる。社会派の事件小説を求めている人には、かなり刺さる一冊だと思う。

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