れんの本棚
感想

就活という誰もが通る道を舞台に、こんなに心理描写を深く掘り下げた小説があったか。朝日新聞の書評欄で目にしてから、ずっと気になっていたこの作品、ようやく読むことができました。 物語は四人の大学生が就職活動という限定された時間の中で繰り広げる葛藤や競争を描いていますが、単なる就活の実録ではありません。自分たちが何者なのかを必死で探ろうとする姿勢、本音と建前の間で揺れ動く心理状態が、これほどまでに生々しく描かれているとは。読みながら、自分の就活時代を思い出し、当時の自分の迷いや焦りが蘇ってきました。 四十を過ぎた今だからこそ感じる説得力もあります。彼ら彼女らが抱える「何者でもない自分」への恐怖は、実は社会人になってからも形を変えて続いているのではないか。そんなことまで考えさせられる。 大企業社員として日々を過ごす自分たちも、突き詰めれば同じ問題と向き合い続けているのだ。そう気づかされる秀逸な一冊です。

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