てつの本棚
黄色い家(下)

黄色い家(下)

川上未映子 中央公論新社 2025年11月20日

感想

下巻を読み終わったのですが、正直なところ「そつなくまとまっている」という印象が残りました。 上巻の時点で提示された謎、少女たちの共同生活の行方、そしてある死の真相——これらがきちんと明かされるわけですが、その過程でいたく感情移入できなかったんです。文章の質は高いし、丁寧に構成されているのは感じるのですが、読んでいて心が揺さぶられるようなこともなく。教室で生徒たちを見ていると、若い世代の複雑な感情世界がありますから、もっとそこに迫ってくる何かを期待していたのかもしれません。 ただ、孤独な少女の闘いを描こうとした著者の姿勢は評価します。細部に目配りする描写もありますし。でも最後までそれが「最高傑作」と言わしめるほどの傑出性には至らなかった、そんな感じですかね。無難で洗練された一冊、という評価が妥当な気がします。