はるかの本棚
ジョギング妻のしずく

ジョギング妻のしずく

草凪優 竹書房 2018年4月1日

感想

最近、ビジネス書や思想書ばかりに偏っていた読書生活に刺激が必要だと感じていたのですが、この作品はまさに予想外の面白さでした。 人生の転機を迎えた中年男性が、ジョギングという地味な習慣から人生を変えていく過程が、実は私たちが直面する人間関係や自己再生のテーマと通じているんですね。単なるエロティック小説にとどまらず、四十代という人生の折り返し地点での葛藤や新たな可能性への目覚めが丁寧に描かれています。 職場での疲弊と家庭での停滞感から抜け出そうともがく主人公に、思わず応援したくなってしまいました。管理職という立場で日々プレッシャーの中にいる自分だからこそ、彼の「もう一度人生を歩み直したい」という願いが切実に響きます。 軽く読めるエンタメ小説としての楽しさと、人間関係の機微を描く文学的な側面が巧妙に組み合わされているところが、この作品の秀逸さだと思います。息抜きと思索のバランスが取れた、大人の読書として丁寧に仕上げられていました。話題作として納得できる一冊です。

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