最近登録された他の本の感想
2026年08月25日
シリーズの3巻目ということで、続きが気になって手に取りました。前巻からの流れを引き継ぎながら、主人公が指揮官として初めて大きな任務に挑むという展開は盛り上がりがあります。 ただ正直なところ、期待していた以上の驚きや深さを感じられませんでした。戦略的な思考や部隊運営といった実務的な側面は丁寧に描かれていますが、どうしても進み方が一本道というか、予測の範囲内で収まってしまった印象があります。エンジニアとして職業柄か、論理的な構成には納得できるのですが、それがそのまま物語の予測可能性にもなってしまっているのかもしれません。 後半の「一寸先の思わぬ事態」というのは確かに存在するのですが、そこへ至るまでの過程がもう少し複雑に絡み合っていても良かったかなと思います。シリーズとしては無難に続いていく作品という感じ。次巻があれば読むと思いますが、今のところ強く推したいほどの傑作ではないですね。気軽に続きが読みたい人向けといったところでしょうか。
2026年08月17日
クイズ番組の決勝で、まだ問題が読まれていないのに正解してしまう男がいる—この設定だけで一気に惹き込まれました。 実は、プログラミングやロジックの面白さに引かれる職業柄なのか、この「なぜ?」という問いへの向き合い方がたまりません。著者が丁寧に謎を積み重ねていって、最後にズバッと解き明かす快感。エンタメ小説としてこれ以上ないくらい完成度が高いです。 気軽に読める雰囲気を持ちながら、実は綿密に計算された構成になっているところが秀逸。何気ない会話やシーン一つ一つが後で活きてくる感じ、好きです。文庫化に伴って収録された「僕のクイズ」という短編も、本編をより深く味わわせてくれます。 日常の疲れた時間に「ああ、こんなの読みたかった」という気持ちを満たしてくれる一冊。推理作家協会賞受賞も納得の傑作です。もう一度読み返したくなる面白さですよ。
2026年08月10日
仕事で橋梁設計に携わることになったので、新しい基準を学ぶために手に取りました。ただ、正直なところ期待と現実のギャップがありました。 技術書としての役割は果たしているんでしょうけど、とにかく読みづらい。専門用語が詰め込まれているのは仕方ないとして、図表の質がいまひとつ。複雑な計算式や基準値が列挙されているだけで、実務での活用シーンを想定した説明がもう少し欲しかったです。 改訂版ということで期待していたんですが、前版からの変更点が明確にハイライトされていないのが困りますね。何が新しくなったのか、何が廃止されたのか、ざっと把握するのに時間がかかりました。エンジニアの立場からすると、こういう参照性の良さって実用書として結構重要だと思うんです。 もちろん、この手の公式基準書に娯楽性を求めるのは筋違いなんでしょう。ただ、実務に必要な人たちがもう少し効率的に必要な情報にアクセスできる構成になっていれば、もっと良かったなと感じました。仕事道具として活用していきますが、もやもや感は残ります。
2026年08月07日
話題になっていたので気軽に手に取ったんですが、一気読みしてしまいました。エンジニアの仕事をしていると、どうしても論理的思考に偏りがちなんですけど、この作品はそういう日常を忘れさせてくれるくらいの没入感がありますね。 秘密の日記という設定だけで既に心を掴まれるんですが、主人公たちの関係性の描き方が本当に秀逸。二人の視点から同じ出来事が違う風に見えるという構成も面白くて、読み進めるたびに「あ、そっか」という小さな驚きが積み重なります。 何より印象的だったのは、限られた時間の中で二人が関係を深めていく過程。派手な展開があるわけじゃないのに、ページをめくる手が止まりません。後半、伏線が回収される場面では思わず涙ぐんでしまいました。デビュー作とは思えないくらい完成度が高い。 日常の忙しさに追われている時こそ、こういう作品に出会えるのって幸運だなって感じます。多くの人に愛される理由がよく分かりました。
2026年07月27日
話題になっていたので手に取ってみたんですが、正直なところちょっと物足りなかったというのが素直な感想です。 重いテーマを扱った作品ということは理解しているんですけど、主人公の心理描写がもう少し丁寧だったらなあと感じました。エンジニアの仕事をしていると、複雑なロジックや人間の動機を追っていく癖がついてるせいか、秀一の決断に至るまでのプロセスが駆け足に感じてしまったんです。 もちろん、限られた紙面でそこまで細かく書くのは難しいんだろうなというのは分かります。でも、こういった極限の状況に追い込まれた若者の心理こそが、この作品の核になるべきじゃないかと思うんですよ。その部分がもう少し掘り下げられていたら、もっと引き込まれたんじゃないでしょうか。 文章そのものは読みやすいし、湘南という舞台設定も良いんです。だからこそ、あと一歩踏み込む勇気があれば、かなり良い作品になれたんじゃないかなという、もどかしさが残ってしまいました。
2026年07月25日
川崎鷹也のエッセイ、予想以上に引き込まれました。正直なところ、アーティストの自伝本って少し敷居が高いイメージがあったんですが、この本は違いました。 本人が書き下ろしたというだけあって、とても素直な語り口が心地よい。なぜあんなに人の心を揺さぶる歌声が出るのか、その秘密が垣間見える感じがします。挫折や努力の話は、エンジニアの私にとってもすごく共感できる部分が多かったです。地道に技術を磨くって、ジャンルは違えど本質的には同じなんだなって改めて思わされました。 音楽の技法についても、難しすぎず、でも本質的な部分は丁寧に説明されているから、音楽知識がなくても楽しめます。短編みたいなのも挟まってあるので、さくさく読み進められました。 一気読みして、その後彼の曲を聴き直したくなるような、そういう素敵な一冊。もっと早く読めばよかったなって思います。
2026年07月23日
シリーズを追いかけ続けてようやく14巻にたどり着きました。いや、相変わらず面白い。これ、本当に何度読んでも飽きません。 今巻は主人公・莉奈が新しい国に到着して、またもや食べ物で周囲を魅了していく話なんですけど、焼肉パーティーから始まる外交戦は思わず笑ってしまいました。竜に乗ってきた女の子が城門前で焼き肉を焼く、この非常識さがもう最高。当然、王様も陥落するわけで。 エンジニアとしての仕事柄、論理的に構成された物語を読むことが多いんですが、このシリーズって実は緻密に計算されているんですよ。一見ほのぼのしているように見えて、各キャラクターの思惑がちゃんと絡み合ってるし、世界観の設定も無理がない。その上で、食べ物の描写から伝わる温かさと親近感が素晴らしい。 ストレスフルな日常から逃避したいときに最適です。ご飯を食べながら読むと、さらに沼にハマります。次巻が待ち遠しい。
2026年07月16日
本屋大賞受賞作だからという理由で手に取ったこの作品、予想を大きく上回る面白さでした。 「愛ではない。けれどそばにいたい。」という帯のフレーズに惹かれて読み始めたんですが、この一文だけで物語の本質がつかめているような気がします。世間的には批判されるであろう二人の関係性を、決して美化することなく、かといって単純に非難することもなく描き出す筆力に引き込まれました。 プログラミングの論理的思考に慣れた頭でも、人間関係の複雑さや感情の機微はコードでは解けない問題だなと改めて感じさせられます。各登場人物の視点が交錯する構成も工夫されていて、同じ事象を違う角度から見ることで、物語に奥行きが生まれていく。仕事の合間に少しずつ読み進めるのに丁度いいペースで読めました。 映画化も決定しているようですが、この小説だからこそ成立する世界観を、スクリーンでどう表現するのか非常に気になります。小説として完成度高く、何度も読み返したくなる一冊です。
2026年07月09日
仕事でコードと向き合う毎日だからこそ、こういう優しい世界観にすっと入り込めるんだと思う。ホテルうらうらという架空の場所が、読んでいて本当に存在する場所みたいに感じられて、ここに泊まりに行きたいなって何度も思った。 編集者、会社員、母親——違う立場の三人が、それぞれの人生の悩みを抱えてこのホテルにやってくる。その描き方がすごく丁寧で、押し付けがましくない。占いができるオーナーが答えを教えてくれるわけじゃなくて、海を眺めたり、素の自分になったりする中で、ゆっくりと心が変わっていく感じなんだよね。 潮が満ちたり引いたりするみたいに、人生にも流れがあって、時には待つしかない時間があるんだっていうメッセージがさりげなく伝わってくる。エンジニア的には、こういう「自然な流れに身を任せる」という発想は日頃とは正反対だから、余計に響いたのかもしれない。疲れた心をリセットしたいときに読むのに最適な一冊です。
2026年07月04日
本屋大賞ノミネートということで手に取ってみたら、一気読みの虜になってしまいました。バレエという一見自分の生活とは無縁の世界なのに、こんなに引き込まれるなんて。 萬春という主人公の人生を通じて、表現者としての情熱や葛藤がリアルに伝わってきます。エンジニアの仕事をしていて常に論理的に考える癖がついているせいか、逆に創作活動の本質的な部分ってこういうものなんだって新鮮に感じられました。彼の周りの登場人物たちもそれぞれ個性的で、視点が移りながらストーリーが展開していくのが面白い。 10年の構想と執筆を経ているっていうのも納得できるほど、細部まで丁寧に描き込まれている。ただ若干長めなので、疲れているときより気持ちに余裕のあるときに読むことをおすすめします。舞踊の「神」を追い求める天才の物語として、読む価値は十分あります。
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