直人の本棚
るるぶ■■版 蓋ヶ瀬

るるぶ■■版 蓋ヶ瀬

柿 JTBパブリッシング 2026年8月28日

感想

最近ネットで話題の「蓋ヶ瀬」という謎の地名を知り、この本が出ていると聞いて手に取ってみました。るるぶという実在の出版社が、所在地不明の場所についてモキュメンタリーホラーという形式で書籍化する試み自体が興味深い。 読んでみると、ネットミームと現実の融合という今どきのテーマの扱いは悪くないのですが、全体的に消化不良な印象が拭えません。栃木県足利市での実際の取材に基づいているという設定は面白いものの、虚実の境界線が曖昧すぎて、結局のところ何が何だか判然としない。それが狙いなのかもしれませんが、読み終えてもすっきりしない疲労感が残ってしまいました。 話題性だけで惹かれる部分は確かにあります。こういった新しい試みの書籍に出会うのは、この年になっても新鮮です。ただ、エッセイとしても小説としてもホラーとしても、どれを基準に評価していいのか困るというのが正直なところですね。奇想天外さと完成度のバランスが、もう一歩だったように思います。

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