直人の本棚
マリコは国宝を観た!!

マリコは国宝を観た!!

林 真理子 文藝春秋 2026年3月11日

感想

田中マリコという人物の存在自体が話題だったので、つい手に取ってしまった。72歳とは思えぬバイタリティと、その一方で年を重ねることへの率直な向き合い方が興味深い。 エッセイ的な筆致で綴られる日々の出来事は、派手さと地味さが同居している。大谷翔平を生で観戦する興奮もあれば、SNS誹謗中傷に心を痛める繊細さもあり、その落差がリアルで好感が持てた。特に万博での体験記は、単なる報告ではなく、そこに秘められた思考の深さを感じさせてくれる。 何より印象的だったのは、困難や悩みに直面しても「凹んでいたらマリコじゃない」という精神性だ。我々50代男性が人生後半戦で直面する葛藤に対して、一つの答え方を示してくれているような気がする。歌舞伎の話題も織り交ぜられており、教養人としての矜持も感じられた。完璧ではないかもしれないが、その不完全さこそが、この一冊の価値を高めていると感じた。

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