直人の本棚
海賊とよばれた男(上)

海賊とよばれた男(上)

百田 尚樹 講談社 2014年7月15日

感想

話題作ということで期待して手にしたのだが、正直なところ物足りなさが残った。 本屋大賞受賞作であり、ビジネスマン必読と銘打たれているだけに、国岡鐡造という人物と、戦後の日本経済を舞台にした壮大なストーリーを期待していた。確かに歴史的背景の描写は丁寧で、敗戦直後の日本で立ち上がる男の姿には胸を打つものがある。しかし、読み進めると人物描写が図式的に感じられてしまう。 特に、登場人物たちがやや一面的で、深みに欠けるような印象を拭えない。ビジネス小説として経営戦略や人間関係の複雑さをもっと掘り下げてほしかった。また、上巻という構成も中途半端で、ここまでの段階で判断するのは難しいが、今のところ大きな引き込まれる力を感じていない。 58年生きていると、同世代の経営者たちの実際の苦労や葛藤を目にしてきた。その経験からすると、この作品はやや理想化されすぎているように思えるのだ。下巻に期待したいところだが、現段階では推奨しがたい。

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