三浦の本棚
スピノザの診察室

スピノザの診察室

夏川 草介 水鈴社 2023年10月27日

感想

『神様のカルテ』シリーズを読んでいたので、この新作にも期待していました。実際に手に取ってみると、その期待を大きく上回る完成度に驚きました。 主人公の医師・雄町哲郎の人生選択や葛藤が、細やかに描かれています。最愛の妹を失い、甥の龍之介との生活を選んだ彼が、患者たちと向き合う中でどのように変わっていくのか。その過程が本当に丁寧に紡がれていて、一気読みしてしまいました。 医療現場の現実とそこで生きる人間関係が、決してセンチメンタルに陥らず、むしろ冷静に描かれているところが秀逸です。人の幸せとは何か、命とは何かという問いに対する著者からのメッセージが、最後にしっかりと形になっていました。 仕事で疲れた心身に優しく届く作品です。確かにシリーズを超える傑作だと感じました。同じような世代の男性には特におすすめしたい一冊です。