三浦の本棚
感想

直木賞受賞作に連なるシリーズということで、期待値が高いまま手に取った一冊です。正直なところ、複雑なテーマを扱う作品は慎重に選ぶ性分なのですが、この「森」シリーズ現代編には完全に引き込まれました。 「山は半分殺してちょうどいい」というマタギの言葉から始まる問題提起が秀逸です。編集者・美佐子を通じて、人と自然の関係、生命倫理について深く考えさせられます。日常の仕事に追われている身としては、こうした本質的な問いかけに向き合う機会は貴重です。 著者の視点は一方的ではなく、狩猟文化への尊重と現代社会の矛盾を丁寧に描いています。環境問題やサステナビリティについて語られることは多いですが、この作品はそれらを人間的なドラマの中に溶け込ませている点が素晴らしい。知識としてではなく、心で感じることができるんです。 文庫本という手軽さも相まって、通勤時間や休日にじっくり読み進められました。仕事で疲れた心が、この物語の中で何度も立ち止まり、考え直される経験。それこそが読書の醍醐味だと改めて感じさせてくれた一冊です。

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