三浦の本棚
殺人犯はそこにいる

殺人犯はそこにいる

清水 潔 新潮社 2016年5月28日

感想

足利事件という名前は聞いたことがあったが、ここまで深い闇があったのかと驚かされた。新聞やニュースでは知りえない、取材記者の執念がなければ決して表に出ることのなかった真実が詰まっている。 慎重に判断することが習慣になっている身としては、この本が示す「確定的と思われていたものの危うさ」は特に衝撃的だった。司法制度への漠然とした信頼が、いかに脆いものであるかが明確に伝わってくる。冤罪という言葉では片付けられない、人生全体を奪われた人間の苦悩。その背景にある組織的な問題。これらが淡々とした筆致で記録されているからこそ、逆に怒りが込み上げてくる。 調査報道というジャンルの重要性を改めて認識させてくれた。事実を掘り下げることの難しさ、そしてそれを世に問うことの勇気。仕事の合間に読み進めるたびに、自分の人生設計の堅さを考えさせられた。推奨される傑作であることに納得できる一冊だ。

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