ピース又吉の本が気になって手に取ったんですけど、思ってた以上に深くて引き込まれました。尾崎放哉や太宰治といった作家たちを通して、本人の思考や人生観が浮かび上がってくるような構成が素晴らしい。単なる読書エッセイじゃなくて、文学作品との向き合い方を通じた自己表現になってるんですよね。 特に印象的だったのは、古典作品に対する深い読み込みと、その上での個人的な解釈のバランスです。又吉がどういう視点で作品を捉えてるのか、その思考プロセスが丁寧に示されていて、自分の読書にも影響を与えてくれた感じがします。お笑い芸人という肩書きを抜きにしても、真摯な読み手としてのスタンスが貫かれてる。 巻末の中村文則との対談も良かった。同じく文学に真摯に向き合う人同士の会話って、やっぱり質が違うんだなって感じました。人文書をよく読む身としては、こういう本との出会いは本当に大事。これからも又吉の作品や思考に触れていきたいです。
最近登録された他の本の感想
2026年08月16日
成瀬シリーズの続編ということで期待して読んだのですが、正直なところ前作の魅力が薄れてしまった印象を受けました。 短編集という形式で複数の視点から成瀬という人物を描こうとする試みは面白いのですが、各エピソードが散漫に感じられてしまいます。前作では成瀬という主人公の揺るがない芯を感じることができたのに、今作では彼女がもはや背景に近い存在になってしまっているような気がして、肩透かしを食らった感覚が拭えません。 登場人物たちは確かに個性的で、その人物描写の質は高いのですが、だからこそ余計に成瀬というキャラクターが希薄化している矛盾が目立つ。また、終盤の失踪という展開についても、その必然性がやや弱く感じられました。 評価の高い本として多くの読者に推薦されている作品だからこそ、期待値が高まっていたのは事実です。決してつまらない本ではありませんが、シリーズものとしての連続性、主人公の輝きという点で、私は前作を超える満足度を得られませんでした。
2026年08月15日
行政書士試験の受験を視野に入れて手に取ったこの判例集ですが、正直なところ予想以上の完成度に驚きました。 試験対策本というと退屈になりがちなのですが、この本は構成が秀逸です。重要判例については判例のポイントと判旨を詳しく解説し、関連判例は結論のみという方式で、学習効率を最大限に考えた設計になっています。憲法・民法・行政法・商法の主要判例が網羅されているので、試験範囲をカバーする安心感もあります。 近年の行政書士試験では判例知識を問う出題比重が高まっているという背景も理解できました。単なる条文暗記では合格が難しい状況で、この判例集のような実践的な教材の価値は本当に大きいと感じます。 人文・思想書を中心に読む習慣のある自分にとって、法律という論理体系の奥深さを改めて認識させてくれた一冊です。判例という「実際の判断の積み重ね」を学ぶことで、法律がいかに生きた学問であるかが理解できました。資格試験対策という実用的な側面だけでなく、学問的な面白さも感じられるのは本当に稀です。
2026年08月07日
朝井リョウの解説に惹かれて手に取った一冊。期待通り、というより期待を大きく上回る傑作だった。 婚約者が失踪するという劇的な設定から入るが、この物語の本質は謎解きではなく、人間関係の複雑さと向き合う過程にある。主人公が相手の「過去」と向き合う中で、自分自身についても問い直されていく構造が秀逸だ。恋愛を通じながらも、そこに留まらない普遍的なテーマが織り込まれている点が素晴らしい。 特に印象的なのは、登場人物たちの行動や選択が単純な「善悪」では判断できないということ。傲慢さと善良さが同じ人間の中に共存する矛盾を、作者がどう描いているかが見どころだ。自分たちはみな、何らかの傲慢さを抱えながら生きているのではないか——そんな問い掛けが心に残る。 高校生である自分にとって、人間関係や人生の進路について考える時期だからこそ、この作品が伝えるメッセージが深く響いた。読み終わった後、周囲の人間関係を見つめ直すきっかけになる。本当に素晴らしい一冊です。
2026年07月23日
五木寛之という作家に対して抱いていた漠然とした興味が、この本で一つの確実な形になった気がします。93歳という年齢で書かれた「最終章」というタイトルが示す通り、長年の人生経験と思索の集大成がこの一冊に凝縮されているのです。 元々『大河の一滴』は評判の高い作品として認識していましたが、30年の時を経たこの続編では、著者の人間観がより深く、より静かになっていることに驚きました。若い頃には見えなかった人間関係や死生観についての考察が、非常に説得力を持って迫ってきます。 人文思想書を好む読み手として感じたのは、難解さと親しみやすさのバランスの取れた文体です。複雑な思想を、決して押し付けがましくなく、むしろ対話するような形で読者に問いかけてくる。高校生の僕でも、自分の人生について真摯に考えるきっかけをもらいました。 著名な作家の最終作品という位置付けながらも、終わりではなく、読み手一人ひとりの人生への投げかけが続いていくような仕上がりになっている点に、このベストセラーの真価があるのだと思います。
2026年07月22日
小林正観さんの名前は色々なところで見かけていたので、どんな内容なのか気になって手に取ってみました。人生を楽しくするための考え方を丁寧に解いた本で、読みやすさは確かです。ただ、正直に言うと、内容としては自己啓発本としてよくある「ポジティブ思考の大切さ」という範囲を大きく超えるものではありませんでした。 「うれしい」「楽しい」「幸せ」といった感情を大事にしようという主張は分かりやすく、説得力もあります。でも、それをどう実践するのか、人生のどの段階でこれが機能するのか、という具体的な部分が少し物足りない気がしました。高校生の僕からすると、抽象的すぎるというか、もっと踏み込んだ議論があってもいいのかなと。 ただ疲れた時に肩の力を抜いて読むには悪くない本だと思います。決して悪くはないんですが、特に心に残る何かがあったわけでもなく、読んだ後も「そっか、そういう考え方もあるんだ」程度の感覚です。人生論としてはもう少し深さを求めてしまいました。
2026年07月06日
綿矢りさの新作ということで手に取ったんですが、期待以上の仕上がりでした。女性同士の恋愛を描く作品って、どうしても表面的になりがちだと思ってたんですけど、この作品はそうじゃない。登場人物たちの内面の揺らぎや葛藤が丁寧に描写されていて、引き込まれました。 特に印象的だったのは、恋愛感情が生まれるまでのプロセス。唐突に見えるかもしれない出来事も、細かい心理描写を追っていくと自然に感じられる。そういう繊細な書き方が綿矢りさらしいなって思います。 ただ正直なところ、上巻の段階では物語としてはまだ序章に近い感じがしますね。だからこそ下巻が気になって仕方ない。もっと関係がどう動いていくのか、登場人物たちがどんな選択をするのか、そこまで読まないと全体評価は難しいと感じました。でも上巻だけでも十分価値のある作品です。新しい文学的表現の可能性を感じさせてくれた一冊でした。
2026年06月29日
司馬遼太郎の『関ヶ原』は、日本史上最大級の戦いを題材にした傑作だ。この作品を読んで驚いたのは、単なる歴史冒険小説ではなく、人間の本質に迫る深い思想書としての側面だ。 関ヶ原の戦いを軸に、各武将たちがどのような思想で動いていたのか、何を守ろうとしていたのかが丹念に描かれている。特に印象的なのは、登場人物たちが単純な善悪では判断できないということだ。司馬遼太郎は彼らの葛藤や信念を複雑に描き出し、歴史を学ぶことが単なる事実の暗記ではなく、人間理解へとつながることを教えてくれる。 文章の質も素晴らしく、戦闘シーンの躍動感と登場人物の内省的な場面のバランスが絶妙だ。高校の教科書では決して学べない歴史の奥行きや、人物の心情がこれほどまでに生き生きと描かれた作品は他にない。歴史に興味がある人はもちろん、人間ドラマとしてもこれ以上なく優れた一冊だと断言できる。
2026年06月23日
高校生活を送る中で、「努力すれば報われる」とか「誰にでもチャンスがある」みたいな建前的な話をよく聞く。でもこの本を読んで、そういう綺麗事の裏側にある現実を直視することの大切さを改めて感じた。 橘玲さんの著作は常々注目していたんだけど、この新書は予想以上に刺激的で面白かった。遺伝や外見、親の経済格差といった「変えられない要素」が人生に及ぼす影響について、科学的根拠をベースに論じている。学校では絶対に教わらない視点だから、最初は不安定な気持ちで読み進めていた。 ただ単に悲観的なことを言っているわけじゃなくて、こうした不公平な現実を理解した上で、どう生きるべきかという問題提起になっているところが良い。新書という限られた分量の中で、複雑な社会構造をここまで整理できるのは本当に上手だと思う。 若い世代こそ読むべき内容だと感じた。世間の建前と本音のギャップが見えると、人生設計も変わってくると思う。
2026年06月16日
世界中で読まれているという話を聞いていたから、ずっと気になってた。実際に読んでみたら、その理由がよく分かった。 この本は表面的には少年が宝物を探す冒険譚なんだけど、読み進めていくと、それは単なる物語じゃなくて、人生そのものについての深い思索なんだと気づく。登場人物たちとの出会いを通じて、夢を追うことの本質や、自分の人生を生きることの意味が少しずつ明かされていく。その過程が本当に丁寧に描かれている。 個人的に印象的だったのは、旅の中で主人公が直面する困難や迷いが、決して無駄ではなく、すべてが自分を成長させるための必要な経験だということを教えてくれる点。夢を持つことって時には辛いけど、それでもなお前に進む勇気が大事なんだと感じさせてくれた。 人文書をよく読む身としては、この本の哲学的な深さと物語としての面白さの両立が秀逸だと思う。ベストセラーになるのも納得できる作品だった。
2026年06月15日
古文の授業で『和漢朗詠集』を初めて知ったとき、正直なところ退屈そうだなと思っていました。でも実際に手に取ってみると、これが本当に素晴らしい。平安時代の公卿・藤原公任が選んだ東西の詩歌が一冊に収められているんですが、千年前の作品とは思えないほど新鮮で、自然への向き合い方や人間の感情の描き方が現代にも通じるんです。 特に印象的だったのは、白楽天や菅原道真の漢詩と、紀貫之たちの和歌が共存している点。異文化の詩歌を組み合わせることで、より深い美意識が生まれているように感じます。季節ごとに整理されているのも読みやすく、春の立春から始まるその構成自体も美しい。 講談社文庫の版は読みやすい現代語訳も付いていて、高校生の自分でも作品世界に没入できました。文学史の授業で『平家物語』の背景にこの作品があったことを知ると、さらに興味深くなります。日本の古典文学に真摯に向き合いたい人には、これ以上ない入門書だと思います。
ブクログからブクマへ
かんたん引っ越し
読書記録や感想をそのまま移行。
数分の準備で、ブクログの本棚をブクマへ。
タイトル
読書状況
評価
感想
ネタバレを表示しますか?
この感想には物語の内容に関するネタバレが含まれている可能性があります。
ブクマとは
読んだ本を、かんたんに記録できる
読書管理サービスです。
あなただけの本棚をつくる
気になる本を検索して簡単登録。絞り込みや並び替え、削除も簡単です。
ブックリストで分類・整理
「お気に入り」「気になる本」など、自由にブックリストを作成できます。
感想・評価・メモを残す
読んだときの気持ちや、心に残った言葉を自由に記録できます。
共有と発見の楽しみ
他のユーザーの本棚や感想から、新しい一冊に出会えます。
読書体験をシェア
自分の本の感想やブックリストをSNSでシェアすることもできます。
ブクログから本棚を移行
これまでブクログで管理していた読書記録を、ブクマへインポートできます。