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感想

島崎藤村の文明論集を手にしたのは、明治の知識人がどのような視点で日本と西洋を見つめていたのか知りたかったからだ。海外での見聞を通じて江戸から明治への連続性を論じるという着眼点は確かに興味深い。 ただ正直なところ、期待値と現物のズレを感じた。旅行記としては確かに価値があるし、当時のパリやアメリカの情景描写も悪くない。しかし「内発的近代の可能性」という大きなテーマに対して、議論の掘り下げがやや浅く感じられてしまう。藤村自身、文学者としての感性で書いているぶん、論理的な緻密さに欠ける部分がある。 それでも読む意味がないわけではない。百年以上前の知識人がどう考えていたか、その思考の跡を辿る体験は貴重だ。評価の高さも頷ける。ただ個人的には、もう少し論の強度があれば、より深い満足感を得られたと思う。近代日本への問い直しに関心がある人なら、一読の価値はあるだろう。

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