幽霊写真展

幽霊写真展

赤川 次郎

出版社:文藝春秋 出版年月日:2026/02/06

文藝春秋 | 2026/02/06

4.00
本棚登録:1人

みんなの感想

感想

幽霊シリーズの31作目ということで、長く愛される理由がようやく理解できました。本作は単なる警察小説ではなく、登場人物たちの複雑な人間関係と心理が巧みに編み込まれています。 冒頭の写真コンクール入選という日常的な出来事から、突然の殺人事件へと転換する構成は秀逸。掛川夫妻をめぐる疑惑と過去の冤罪事件が絡み合う過程で、読者の推理も何度も揺さぶられます。宇野というキャラクターの誠実さと、事件の深層に迫ろうとする執念が、物語に説得力を与えているのも効果的です。 新書という形式ながら、人間ドラマとしての完成度が高く、短編「愛しの夕子、危機一髪」の挿入も緊張感を緩和させるいい味付けになっています。長いシリーズだからこそ可能な、キャラクターとの信頼関係に基づいた読みの深さが感じられました。謎解きだけでなく、人間不信と信頼の問題を問いかける点も、単なる娯楽作品で終わらない洗練さがあります。

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