ルポ貧困大国アメリカ

ルポ貧困大国アメリカ

堤未果

出版社:岩波書店 出版年月日:2008/01/22

岩波書店 | 2008/01/22

4.00
本棚登録:2人

みんなの感想

感想

アメリカという先進国がなぜ貧困問題で苦悩しているのか、その構造的な背景を明確に示した良質なルポルタージュだ。著者は単に困窮者の生活実態を記述するのではなく、新自由主義政策や民営化がいかにして貧困を再生産しているかを、具体的な事例を通じて丁寧に追跡している。 ハリケーン・カトリーナの被害がなぜ貧困層に集中したのか、フードスタンプで暮らす人々がどのような経済構造に組み込まれているのか——こうした問題群が単発の事象ではなく、根深い制度的矛盾から生じていることが理解できる。医療破産という先進国では考えられない事態まで丹念に掘り下げている点は秀逸だ。 新書という限定された枠の中で、これだけの情報量と説得力を備えているのは稀有である。データと人間ドラマのバランスも適切で、読み手に問題の重要性を痛感させる。グローバル化とその歪みを考える際、必読の一冊だろう。

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