読書好きおじさんの本棚
感想

話題作ということで手に取った『白夜行』ですが、期待通りの傑作でした。東野圭吾の代表作に相応しい、重厚で深い物語です。 表面的にはミステリーですが、実は人間の本質に迫る心理小説としても機能している点が素晴らしい。二人の登場人物がそれぞれ別の道を歩みながら、運命的に交差していく様は、一種の悲劇性を帯びていて、単純な勧善懲悪では済まない複雑さがあります。 特に印象的だったのは、刑事の執念の向かい先がどこにあるのか、読み進めるにつれて明らかになっていく構成。細部に張られた伏線が後になって効いてくる快感を、久しぶりに味わった気がします。 会社での人間関係で疲れているときだからこそ、この小説の登場人物たちの生き方に考えさせられることが多かったです。本当の自分を隠しながら生きることの代償、そして光と影の関係性について。 分厚い本ですし、内容も重たいので読むのに時間はかかりますが、その労力を十分に返してくれる作品。大人が読むべき一冊だと思います。

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