ちーちゃんの本棚
ほどなく、お別れです それぞれの灯火

ほどなく、お別れです それぞれの灯火

長月 天音 小学館 2023年3月7日

感想

葬儀という日常では関わることの少ないテーマなのに、なぜこんなに惹き込まれるんだろう。読み始めたら止められませんでした。 主人公の美空が葬儀場で出会う様々な故人と遺族の物語を通じて、死別という最大の喪失とどう向き合うのかが丁寧に描かれています。特に印象的だったのは、葬祭ディレクター・漆原の厳しさの奥に隠された優しさ。最初は厳しいだけに見えるキャラクターが、物語を進めるにつれて本当の気配りの形が見えてくるんです。 エッセイ的な語り口もあって、読みやすさと深さのバランスが絶妙。重いテーマなのに後味が良いのは、著者が「別れ」を悲劇ではなく、故人と遺族が最後に向き合う大切な時間として捉えているからかもしれません。 高校の友人との再会から始まる物語の展開にも引き込まれますが、その先がどうなるのかは読んでからのお楽しみ。人生について考えさせられながらも、心がほわっと温かくなる。そんな素敵な一冊です。

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