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感想

ゲド戦記は、何度か映像化されているのを見かけて、いつか原典を読まねばと思っていた作品だった。ようやく手にして、その思いがいかに正当だったかを思い知らされた。 アーシュラ・K・ル=グウィンが創造したアースシー世界は、単なるファンタジー設定を超えた、人間の成長と自己認識の深刻な問題を扱う物語になっている。主人公ゲドの波乱の人生を追う中で、権力や知識への欲望、そして自己受容といった普遍的なテーマが繰り返し現れ、それが各巻を通じて構築される。 特に注目したのは、本シリーズが後半に進むにつれて、若き日の冒険譚から人生の深い問いへと舵を切っていく点だ。多くのファンタジーシリーズが興奮度で勝負するのに対し、この作品は思想的な充実度で読者を引き込む。美装ケースセットという形式も相まって、じっくりと腰を据えて読む価値のある傑作として推薦できる。人文的な関心を持つ読者なら、確実に得るものがあるだろう。

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