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時間と進化

時間と進化

村上陽一郎 東京大学出版会 1981年11月1日

感想

東京大学出版会のこの著作は、生物学と哲学の接点を知的に探る良質な一冊だ。時間という基本的な概念が、進化という生命現象とどう関わるのか。一見すると難しいテーマだが、著者の筆致は丁寧で、むしろ思考を促す構成になっている。 フリーランスとして様々な分野の本を読む習慣がついているせいか、こうした境界領域の著作には特に惹かれる。既存の枠組みを問い直すアプローチが刺激的で、単なる科学啓蒙書ではなく、真摯な思想書として機能している点が秀逸である。 若干、論理の飛躍を感じる章もあり、より具体的な議論展開を望むところはある。だが全体としては、現代の生物学と時間論の最前線を知る上で実に示唆的な本だ。人文系の読者にこそ読まれるべき一冊だと思う。批評的精神を持つ大人の読書として十分に堪える内容である。