みつこの本棚
街場のメディア論

街場のメディア論

内田樹 光文社 2010年8月1日

感想

内田樹先生の著作は以前から注目していましたが、この新書は本当に素晴らしい一冊です。テレビ、新聞、出版といったメディアが次々と危機を迎える中で、単に「衰退した」と嘆くのではなく、その根本原因を人類学的視点から掘り下げていく視点に感銘を受けました。 「贈与と返礼」というフレームワークでメディアの本質を捉え直すというアプローチは、私たちが日常で当たり前だと思っていたコミュニケーションの意味を改めて問い直させてくれます。神戸女学院大学の講義を書籍化したとのことで、論理的でありながらも親しみやすい語り口が印象的です。 ボランティア活動をしていて、世代を超えたコミュニケーションの大切さを実感している身としては、この本が示唆する「相互性」の重要性が心に響きました。今のメディア危機の本質が理解できるだけでなく、未来をどう生きるかのヒントまで与えてくれる。まさに知的興奮に満ちた読書体験でした。同年代の方にも強くお勧めしたい一冊です。