話題作だったので手に取ってみました。佐藤愛子という文豪の娘が、気難しい母親との日々を綴ったエッセイ集。阿川佐和子さんの絶賛コメントも目を引きます。 読んでみると、確かに親子関係の葛藤や、年老いていく親を見守る複雑な感情が率直に表現されています。ユーモアを交えながら母の奇行を描く部分は微笑ましく、時には共感できる場面も多い。親の介護問題に直面している方なら、ぐっと来るシーンがあるかもしれません。 ただ、正直なところ特別な発見や感動があるかというと、それほど強く心に残るものではありませんでした。既存のエッセイ文化の延長線上という感じで、目新しさに欠けるというか。娘目線で見た有名な文豪の素顔という切り口は興味深いのですが、深掘りをもっと期待していました。 気軽に読むにはちょうどいい一冊ですが、特別な必読書というわけではないと思います。高い期待値を持たずに読めば、そこそこ楽しめるはずです。
最近登録された他の本の感想
2026年06月01日
武家小説というジャンルに、ここまで人間ドラマを詰め込める作品があるのかと驚きました。直木賞作家が初めて挑んだという『春かずら』、十二年間の仇討ちという重いテーマながら、随所に人情味や葛藤が溢れていて、ぐいぐい引き込まれます。 特に面白いのは、主人公の清史郎と仇の息子・隼人という、本来なら相容れぬはずの二人の関係性です。剣の手ほどきを通じた師弟関係の中で、感情のもつれが生じる様子が実に丹念に描かれている。江戸時代の侍という枠組みの中で、「矜持とは何か」「仇討ちの本質とは何か」といった問いが自然と浮かび上がります。 管理職という仕事をしていると、正解と思い込んでいた判断が、実は複数の視点から見ると異なる価値観を持つことに気付かされます。この作品はそうした葛藤を、見事に小説化している。ラストの清史郎の決断には、単なる勧善懲悪では割り切れない、人生の奥深さが感じられました。歴史冒険小説として楽しむのはもちろん、大人だからこそ味わえる余韻がある一冊です。
2026年05月06日
小籔千豊のお悩み相談本ということで、どんな内容か軽い気持ちで手に取ってみました。正直なところ、ここまで心に響くとは思っていなかったですね。 管理職という立場上、日々部下や上司との関係で悩みが絶えないものですが、この本に登場する様々な悩みを読んでいると、自分だけじゃないんだなという安心感が生まれます。小籔さんの回答は説教臭さがなく、実経験に基づいた現実的なアドバイスばかり。吉本新喜劇の座長経験や子育て、親の看取りといった具体的なエピソードが説得力を持っています。 特に印象的だったのは、複雑な悩みを「シンプルに何が必要か」という視点で整理する部分。仕事で判断に迷うことが多い身として、この考え方は本当に参考になりました。小説のような読みやすさとエッセイの学びが両立していて、就寝前の気軽な読書にも最適です。管理職の方や人間関係で疲れている方には、特におすすめしたい一冊ですね。
2026年03月30日
直木賞受賞作とのことで期待して手に取りました。昭和初期の上流階級を舞台にした三つの短編ですが、どれも緻密で引き込まれます。 特に印象的だったのは、各編に登場する「ベッキーさん」という人物の存在感。名探偵というわけではないのに、自然と謎解きの中心にいる。そこが巧いなと感じました。昭和十一年の東京という時代背景も、丁寧に描かれていて、読みながら その世界に浸れます。 管理職という立場上、複雑な人間関係の描写に特に共感しました。華族主人の失踪事件や、良家の少年の夜間行動など、一見すると社会的地位に守られているはずの人物たちが、それでも逃れられない運命や秘密を抱えている。そうした切実さが作品全体を貫いています。 難を言えば、短編三篇ということで各々の展開が少し駆け足に感じる部分もありますが、それでもシリーズ最終巻として申し分ない仕上がり。気軽に読める文庫のサイズで、でも深い。忙しい日々の合間に、こういう質の高い読書ができるのは本当にありがたいです。
2026年03月29日
仕事で英語を使う機会が増えてきたので、手軽に学べる辞書を探していたところ、この本に出会いました。 何といっても、イラストが豊富で分かりやすい。日本語と英語が見開きで対になっており、単語帳のように眺めているだけでも語彙が増えていく感じです。管理職として日常的に使う業務用語から日常会話まで、実践的な単語がしっかり網羅されているのが嬉しい。 DK出版らしく、デザインも洗練されていて、本を開くこと自体が楽しい。通勤時間やちょっとした隙間時間に気軽にぱらぱら眺められるのも魅力です。完全な文法書ではなく、あくまでビジュアル重視の辞書なので、小説や読書を楽しむ感覚で気軽に英語に触れたい私にとっては最適。 これまで敷居が高いと感じていた英語学習ですが、この本のおかげで随分と身近に感じられるようになりました。英語学習を始めたい方、あるいは語彙を増やしたい方に、心からお勧めできる一冊です。
2026年03月24日
古本屋の店主が綴るエッセイということで、気軽に手に取ってみました。正直、こんなに引き込まれるとは思いませんでしたね。 名古屋・今池のシマウマ書房を舞台に、20年間の営業で出会った本と人の物語が綴られています。派手さはないけれど、そこがいい。毎日の仕事の中で感じた小さな喜びや、本が人生でどんな役割を果たすのかということが、自然な言葉で伝わってくる。 管理職をやっていると、つい効率や成果を求めてしまいますが、このエッセイを読んでいると、そういう尺度では測れない大切なものがあることに改めて気づかされます。本が巡り、人が交わり、何かが繋がっていく―そんな見えない循環を大事にする著者の姿勢が好きです。 短編ばかりなので、通勤の電車や休日のちょっとした時間に読むのにもぴったり。本好きならもちろん、最近本から遠ざかっていた人にもお勧めしたい一冊です。
2026年03月22日
伊坂幸太郎のこの短編集は、本当に面白い。デビュー20年目ということで、著者の集大成的な意味合いもあるのだろうが、その確信と余裕が全編に満ちている。 何がいいかというと、どの作品も「当たり前だと思っていることをひっくり返す」という仕掛けが秀逸なのだ。タイトルからして逆転のエッセンスを感じさせるのに、本編ではそれを遙かに超える知的興奮が待っている。管理職として日々、既存の枠組みの中で判断することが多い身としては、こうした先入観を揺さぶる視点がなんとも気持ちいい。 特に印象的だったのは、一編読み終わるたびに「あ、そういうことか」と目からウロコが落ちる感覚。ただの遊び心ではなく、きちんと人生や社会についての洞察が込められているのが伊坂幸太郎の真骨頂だ。 気軽に読める短編ながら、読後には思考の一部が確実に変わっている。この年で改めて、ものの見方をリセットされるのはなかなか得難い経験だ。忙しい毎日だからこそ、こういう一冊は本当に貴重だと思う。
2026年03月19日
14歳の中学生が権力に切り込むルポルタージュ、というコンセプトだけで興味をそそられて手に取りました。正直なところ、ここまで本格的とは思いませんでした。 著者の取材姿勢が素晴らしい。外務省や大阪・関西万博、兵庫県知事選といった社会問題の現場に直接赴き、大人のようなしがらみなく「誰にも遠慮せずに書く」という信条を貫いている。それが新鮮です。管理職として組織に身を置く私たちは、無意識のうちに「大人の事情」に縛られてしまう。そうした思考の枠を越えた純粋な視線が、この本には詰まっている。 荒削りだという点も、むしろ魅力だと感じました。完成度より、現場に立つ記者の真摯さが伝わってくる。ニュースや新聞で知った社会問題も、14歳の眼を通すと違った景色に見える。自分の子どもにもぜひ読ませたい一冊です。 大人として、改めて「問い」を立てることの大切さを教えてもらった気がします。
2026年03月19日
手編みのウエアとこもの、という本を手に取ったのは正直なところ、妻からの勧めきっかけでした。自分が編み物をするわけではないのですが、せっかくだから一通り目を通してみました。 内容としては、春から秋まで着回せる手編み作品の紹介で、編み図や制作過程が丁寧に説明されています。スタイリストのアドバイスが入っているというのは実務的でいいですね。管理職の立場からすると、そうした「実際に使える」という視点は好感が持てます。 ただ、個人的な感想としては、編み物に興味のない人間にとっては少し物足りないというか。編み方の細かい説明や作品の構造についての記述が大半で、読み物としての面白さに欠ける印象です。もちろん、これは編み物を実際にやる人には非常に価値のある一冊なんだろうと思いますが。 妻が活用してくれるなら、購入は正解だったと思います。編み物愛好者には間違いなく重宝される本だと思いますが、門外漢の私には「まあ、こういう本もあるんだな」くらいの感覚になってしまいました。
2026年03月17日
仕事に追われる毎日から、ついに解放される。そういった願いは、管理職をしていると時々頭をよぎるものです。この作品はそんな思いを優しく肯定してくれる一冊でした。 装飾魔女アニスが、ワーカホリックな日々から逃げ出して田舎でのんびり暮らそうと決心する。その設定だけで、もう引き込まれてしまいます。ファンタジー世界の話ですが、現代の働き方への違和感を見事に表現しているんですよね。 何より良いのは、読んでいて心が休まるということ。師匠や妹弟子との関係、田舎での日常が丁寧に描かれていて、読むたびに「ああ、こういう時間も大事だな」と思わされます。ユーモアもあって、クスッと笑わせられる場面も多い。 疲れた心身に、スーッと染み込むような温かさがある。仕事で疲弊している同年代の方には特にお勧めしたい作品です。週末のリラックスタイムに、こういった作品でほっと一息つく。そういった読み方もいいかもしれませんね。
2026年03月16日
娘が子どもの頃に読んでいた『きらりん☆レボリューション』の愛蔵版を、何となく手に取ってみました。正直なところ、少女漫画はあまり読む機会がないもので、どんなものか興味本位です。 懐かしい絵柄と、キャラクター達のキラキラとした世界観は確かに素敵ですね。20年以上愛されているというのも納得できます。ミルフィーカードという特典も、当時の女の子たちにはたまらなかったんでしょう。 ただ、正直申し上げると、中年男性である私にとっては、ストーリーも絵も特別に心を掴まれるものではありませんでした。悪くはないんですが、この愛蔵版を大人が改めて読む必然性を感じられなかったというのが本音です。あくまで懐かしさや豪華仕様の付加価値に頼っている部分が大きいのかな、と。 ノスタルジアを求める平成女児世代には最高の一冊だと思いますが、私みたいな門外漢には可もなく不可もなく、といったところです。
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