阿部の本棚
宮本輝全集(第2巻)

宮本輝全集(第2巻)

宮本輝 新潮社 1992年5月1日

感想

宮本輝の評価の高さに惹かれて手に取ったのですが、正直なところ期待値とのギャップに戸惑ってしまいました。 確かに文体の美しさと心理描写の深さは感じられます。愛と憎、生と死といった重厚なテーマに真摯に向き合う姿勢も伝わってきます。ただ、新社会人の僕にとっては、その深さが時に重すぎて、物語世界に没入しづらい部分がありました。登場人物たちの背徳的な関係性も、理解しようとしても心理的な距離感を感じてしまい、純粋に作品に引き込まれるところまで到達できなかったんです。 書簡体という形式も、現代の読み手にはやや読みにくいのではないかと感じます。同じ重厚なテーマを扱う他の作家の作品と比較すると、より読みやすく鮮烈な表現もあるように思います。 宮本輝の力量そのものは疑いませんが、この全集がすべての読者にとって最初の一冊になるとは限らないかもしれません。彼の作品をもっと探索したいという気持ちは残っていますが、この巻については再読の優先度は低いかなというのが率直な感想です。

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