しんの本棚
君のクイズ

君のクイズ

小川哲 朝日新聞出版 2025年4月25日

感想

本屋大賞で高く評価されたということで手に取ったのですが、期待通りの傑作でした。 クイズ番組を舞台にした設定だけでは、単なるエンタメ小説で終わるはずなのに、著者はそこに深い思想的な問いを織り込んでいます。問題が読まれる前に正答する主人公の対戦相手——この設定だけで「なぜ?」という問いが生まれ、その謎を追うことで、言葉と意味、記憶と現在といった根本的なテーマへと導かれていく。この構成の巧みさに引き込まれました。 エンターテインメントとしての完成度も高く、ページをめくる手が止まりません。同時に、新社会人として仕事や人間関係で様々な「問い」に直面する自分にとって、この作品が提示する問いの立て方は非常に参考になるものでした。思考の枠組みが少し広がったような感覚があります。 文庫化に際して収録された短編「僕のクイズ」も秀逸。本編との呼応関係が上手く設計されており、読み終えた後の余韻が最高です。推理作家協会賞受賞というのも納得の一作。ぜひ多くの読者に勧めたい本です。

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