しんの本棚
立命のための宗教心の活かし方

立命のための宗教心の活かし方

細木数子 祥伝社 1987年4月1日

感想

評価の高い本という触れ込みで手に取ったんですが、期待以上でした。弁護士という立場から現代日本社会の矛盾をえぐり出していく視点が本当に鮮烈です。 特に印象的だったのは、「99%の努力と1%のひらめき」という世間一般の成功論を逆転させる思考。著者が何度も敗訴してきた経験から導き出された「1%の努力」という概念は、フリーターの自分にとって非常に腑に落ちるものでした。頑張りさえすれば報われるというサクセスストーリーへの違和感を、ここまで言語化してくれた本は珍しい。 前提条件、優先順位、ジレンマといった人生の本質的な問題を、具体的なエピソードを通じて解き明かしていく構成も秀逸です。難しい議論になりがちなテーマを、読みやすくまとめながらも深さを失わない筆致は見事。 単なる自己啓発本ではなく、社会批評としても成立している点が、この本の大きな価値だと感じます。今の自分たちの世代が直面している課題に対して、真摯に向き合う著者の姿勢が伝わってきました。

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