のんちゃんの本棚
梅咲く頃にまた会おう

梅咲く頃にまた会おう

迂回 ひなた 講談社 2026年2月12日

感想

凪良ゆうさんの推薦文に惹かれて手に取りました。正直なところ、こういった幻想的な設定の物語は少し敬遠しがちなのですが、これは違いました。 失われた時間を取り戻したいという切実な想いが、さりげない日常のワンシーンたちの中に丁寧に編み込まれていて、ページをめくる手が止まりません。主人公たちが肝試し帰りのアルバイト、夏祭り、そんなふうに淡々と過ごす毎日の中に、深い愛情とやるせなさが静かに流れている。 仕事で疲れた日の夜、こういう温かさに包まれる物語って本当に必要だなと感じます。完璧ではない、むしろ切ない部分もたくさんあるけれど、最後に心がふんわりと満たされる感覚。著者が言う「気持ちの良い涙」というのはこういうことなのかな、と納得しました。 中年の身には、若き日の恋や後悔を思い出させられて、少し切ない気持ちになることもありますが、その感情こそが、この本の良さなのだと思います。気軽に読める小説として、でも心に残る作品として。おすすめです。

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