bibliolifeの本棚
感想

百歳まで生きた一人の女性の人生記を読み終えて、しばし手に持ったまま考え込んでしまった。教育の現場にいると、人生という営みがいかに多角的で予測不可能なものであるか改めて思い知らされる機会は多いが、この自伝ほどそれを見事に物語った作品は稀だろう。 戦前から戦後、そして昭和の時代を駆け抜けた著者の足跡は、決して平坦ではない。教員経験、恋愛、結婚、そして数多の出会いが綾なす人間関係——まるで波乱万丈という言葉が為に存在するかのような人生である。しかし驚くのは、それらの経験が決して特別視されていない点だ。いや、むしろ誰もが持ちうる喜怒哀楽が、ここまで誠実に、そして力強く描かれている。 記述は簡潔でありながら深い。各時代の風俗、心理描写、人間観察の鮮烈さは、百年の時間を感じさせない。人生とは何か、愛とは何か、といった問いに対し、一つの誠実な答えが示されている気がする。同じ教育に携わる者として、この著者の軌跡には不思議な親近感を覚えた。いくつになっても読む価値のある、素晴らしい一冊だ。

ブクログからブクマへ
かんたん引っ越し

読書記録や感想をそのまま移行。
数分の準備で、ブクログの本棚をブクマへ。

詳しく見る
ブクログからブクマへの引っ越しイメージ