洋子の本棚
感想

ヨシタケシンスケのスケッチ集ということで、絵本作家としての彼の柔らかい視点が詰まっているのだろうと期待して手に取りました。20年前の作品ということもあり、現在の彼の作風とどう違うのか、という興味もありました。 実際に読んでみると、「ちょっぴり恋愛っぽい」というコンセプト通り、日常の中に隠れた甘酸っぱい気持ちをすくい取ったエッセイやスケッチが並んでいます。シンプルで可愛らしいイラストとそれを支える文章のバランスは確かに心地よく、パラパラめくって楽しむには十分な一冊です。 ただ、読書家としては物足りなさも感じてしまいました。各編が短く、掘り下げが浅いというか、表面的な温かさで終わってしまう印象があります。人文的な深さや、読み手を揺さぶるような表現の工夫が少ないと感じたのです。もちろんそれがこの本の特性なのだと理解しますが、私個人としてはやや満足度に欠けました。 気軽に読むスケッチ集として、息抜きの一冊には向いています。ヨシタケシンスケのファンなら懐かしさとともに楽しめるでしょう。ただ、深い思考の時間を求める読書にはあまり向かないと思います。

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