洋子の本棚
感想

川端康成の代表作ということで、期待を持って手に取りました。確かに文体の美しさや心理描写の繊細さは素晴らしく、さすが大家だと感じさせられます。雪国という舞台設定も魅力的ですし、登場人物たちの複雑な感情の絡み合いも丁寧に描かれています。 ただ、正直なところ、現代に生きる読者として完全には入り込めませんでした。主人公の島村という人物が、どうにも共感しがたい存在で、彼の「無為の孤独」という美学も、読んでいて少し退屈に感じてしまったのです。女性たちの一途な想いと対比する形で描かれているのでしょうが、それが却って物語全体に重い空気をもたらしているような気がします。 古典として、また文学史的に重要な作品であることは疑いようもありません。解説も充実していて、作品をより深く理解する助けになります。ただ、娯楽として、また人生に何か得るものとしての読書経験としては、期待値と実際の満足度にズレがあったというのが正直な感想です。一度は読む価値のある作品ですが、すべての読者にとって傑作かどうかは、個人差が大きいように思います。

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