えみの本棚
きらきらひかる

きらきらひかる

江國 香織 新潮社 1994年6月1日

感想

出版から時間が経った作品ですが、レビュー評価が高いということで手に取ってみました。正直なところ、最初は設定の奇抜さに戸惑いました。でも読み進むうちに、その設定が実は非常に誠実な問いかけだったことに気づかされます。 セックスレスの夫婦、アルコール依存、隠された同性愛——社会的には「問題」と見なされるような要素ばかりが詰まっているのに、なぜか登場人物たちの関係に違和感がない。むしろ、ありのままの自分たちを相手に知ってもらうことの勇気と優しさが伝わってきます。 フリーランスとして自由に生きている私だからこそ響いたのかもしれません。世間的な「正解」に収まることを拒否しながらも、それでも誰かを愛したい、信頼したいという切実さが、この小説全体を貫いています。笑子と睦月の関係を見ていると、「愛する」ことの本質について深く考えさせられます。 構成や文体も洗練されていて、読み応えがありました。人間関係について考え直したい人、恋愛や結婚の定義に疑問を持つ人にこそ読んでほしい。上質な1冊です。