雄一の本棚
じい散歩 妻の反乱

じい散歩 妻の反乱

藤野千夜 双葉社 2026年10月14日

感想

前作を読んでから随分と経ったが、新平と英子のその後が気になっていたので、続編が出たと聞いて即座に手に取った。180歳を超えた夫婦の日常を描いた作品なんて、自分たちの未来を見ているようで妙にリアルだ。 散歩や食べ歩きを楽しむ新平の姿に思わず共感してしまう。自営業だからこそ時間の融通が利く身としては、このくらい気ままに過ごせたら最高だなと感じる。それでいて妻への土産を忘れない律儀さも素敵で、長年連れ添った夫婦の関係が自然に伝わってくる。 ただ、タイトルの「妻の反乱」がどのように展開するのかは読んでのお楽しみ。老老介護の大変さや、独身の息子たちへのもどかしさなども随所に顔を覗かせながら、どこか可笑しい家族の風景が描かれている。重いテーマなのに読んでいて思わず笑顔になってしまうのは、著者の筆致の妙だろう。気軽に読める家族小説としてお勧めできる一冊だ。

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