雄一の本棚
感想

石原慎太郎という人物について、正直なところ複雑な感情を持っていた。だが、この本を読んでみると、彼がいかに昭和という時代を全身で生きた人だったのか、改めて理解できた。 新書のコンパクトな形式ながら、戦後日本の黄金期における著者の体験が生き生きと蘇る。田園調布の応接室に招かれたような錯覚に陥るという帯のうたい文句も、決して大げさではない。政治家、実業家、文化人たちとの出会いや葛藤が、さらりとしかし印象的に記録されている。 自営業をやっていると、時代との向き合い方や人との付き合い方について考えることが多い。その点でこの本は実に刺激的だった。完全に同意できない部分もあるが、それもまた昭和の風雲児の魅力かもしれない。同時代を生きた大人たちの息遣いを感じたいなら、手に取る価値は十分にある。昭和を知る世代として、またそれを知らない若い読者にとっても、一つの証言として価値のある一冊である。

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