静かな読書の本棚
鬼の花嫁 新婚編五〜天狗からの求婚〜

鬼の花嫁 新婚編五〜天狗からの求婚〜

クレハ スターツ出版 2025年12月27日

感想

久しぶりに夢中になって読める作品に出会った。シリーズものということで敬遠していた時期もあったが、このあやかし恋愛ファンタジーはなかなかの傑作だ。 本編は前巻での事件が一段落したところから始まるが、すぐさま新たな困難が舞い込んでくる。天狗のあやかしが登場することで、物語に新しい緊張感が生まれている。主人公・柚子をめぐる三角関係ならぬ二者択一の構図は、単なる恋愛ドラマにとどまらず、あやかしたちの宿命や因縁という重厚なテーマへと発展していく。 特に面白いのは、敵対していた勢力の思惑が複雑に絡み合うところだ。復讐心から始まった対立が、予想外の展開へと変わっていく様は読んでいて気持ちがいい。愛する者のために揺らぐ心情描写も丁寧で、キャラクターたちへの感情移入も深まる。 普段はちょっと背伸びした本ばかり読むが、こうした娯楽性の高い作品も、時には心身ともにリフレッシュさせてくれるものだ。続きが気になって、ついつい次巻も手に取ってしまった。大人が読んでも十分に楽しめる、そんな一冊である。

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