直人の本棚
感想

本屋大賞を受賞した話題作ということで、文庫化を機に手にとってみました。確かに、多視点から事件の真相を明かしていく構成は意欲的で、読み手を引き込む工夫がなされています。教師の告白から始まる衝撃的なオープニングは秀逸ですね。 ただ、読み進めるにつれて、その期待値がやや下回った感は否めません。登場人物それぞれの告白を通じて事件が多角的に浮かび上がるはずが、どうもご都合主義的に感じられる部分があります。また、社会派小説として深掘りされるべき教育現場の闇や、いじめの構造といった問題も、やや表面的な描き方に留まっているように思いました。 それでも、若い読者や話題性を重視する方にとっては魅力的な作品なのでしょう。私個人としては、もう一層の思想的な深さや人間描写の精緻さがあれば、更に心に残る作品になり得たのではないかという感想です。話題性だけでなく、内容の厚みも求める世代ゆえの、やや厳しい評価かもしれませんが。

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