直人の本棚
ほどなく、お別れです

ほどなく、お別れです

長月 天音 小学館 2022年7月6日

感想

最近、話題になっているこの作品をようやく手にしました。葬儀場を舞台にした小説というのは珍しく、正直なところ最初は戸惑いもありました。しかし、読み進めるうちに引き込まれていきました。 著者が夫の闘病と死別を経験したうえで書き上げたという背景が、この作品に深い説得力をもたらしています。葬儀という人生の最後の儀式に関わるスタッフたちの姿勢が、ただ淡々と描かれるのではなく、一つ一つの葬儀に込められた人間関係や物語が丁寧に編まれていく。特に主人公の美空と厳しくも心優しい漆原との関係性が秀逸です。 葬儀を「悲しみの終わり」ではなく「新たな関係の始まり」として捉える視点が、読み手の心に静かに響きます。仕事柄、人生の様々な局面を見てきた自分にとって、この作品は改めて死と向き合うことの大切さを教えてくれました。人間らしさと優しさに満ちた傑作です。ぜひ多くの人に読んでいただきたい一冊です。

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