直人の本棚
謎の香りはパン屋から2

謎の香りはパン屋から2

土屋うさぎ 宝島社 2026年4月8日

感想

話題のシリーズ続編ということで手に取ってみた。前作が『このミステリーがすごい!』大賞を受賞したというのも興味をそそられた理由だ。 舞台はパン屋という設定が珍しく、日常の謎をパンと絡める工夫は評価できる。登場人物たちがそれぞれ抱える小さな謎が、焼きたてパンの香りに包まれながら解き明かされていく構成は悪くない。メロンパンや塩パンといった具体的なパン名が出てくることで、物語に親しみやすさが生まれている。 ただし、全体的には予定調和的な印象は拭えない。パン屋という舞台設定の面白さに比べると、謎解きの鮮度がやや物足りなく感じた。続編ということで登場人物の掘り下げには期待していたのだが、そこもおおむね期待値の範囲内に留まっている。 決して悪い作品ではないのだが、シリーズもの故の安定感と、逆にそれがもたらす驚きの少なさというジレンマを感じながら読み進めた。エッセイと小説の中間のような読み心地で、気軽に読めるのは確かである。シリーズファンなら満足するだろうが、新規読者の私にとっては、可もなく不可もなくといった感じだ。

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