感想
シリーズの第3巻にして、物語は一気に深みを増す。単なる学園ファンタジーの枠を超え、サスペンスとしての緊張感が素晴らしい。 ハリーが直面する謎、そしてその謎の解き方が実に丁寧に構成されている。最初は脱獄犯への恐怖と復讐心という感情的な推進力があり、読者は単純に物語に引き込まれる。しかし、物語が進むにつれて、真実がどんでん返しで明かされていく過程は、大人が読んでも充分に満足できる。 キャラクターの成長も目を見張るものがある。ハリーが単なる被害者として描かれるのではなく、自分の人生に向き合う決断をする場面は、33歳の私にも深く刻まれた。また、新登場のルーピン教授というキャラクターが加わることで、人間関係に新しい層が生まれ、世界観がより立体的になったと感じる。 文庫新装版ということで、読みやすさも申し分ない。第1巻から読み継いできた人にとっても、ここで立ち止まるわけにはいかない、そんな傑作である。このシリーズは、大人の読み手にも確実に答える。