莉子_booksの本棚
感想

SNSで話題になっていたので手に取ってみたのですが、期待以上でした。母と娘という古くからあるテーマなのに、こんなに新鮮な切り口で描かれるんだと驚きました。 物語は女子高生が自宅で倒れているところから始まります。それが事故なのか自殺なのか、世間の推測が渦巻く中で、母の手記と娘の回想が交錯しながら真実へと近づいていく構成。この手法が本当に秀逸で、同じ出来事でも見方によってこんなにも違って見えるのかという驚きを何度も味わいました。 公務員という職業柄、つい社会的な「正解」を求めがちな思考癖がある私ですが、この本を読んでいて、その思考がどれだけ危険かを痛感させられました。親が「正しい」と思って与える愛情も、受け取る側によっては全く別のものになり得るんだという、複雑な人間関係の真実が静かに迫ってきます。 繊細で、でも力強い筆致。今年読んだ本の中でも特に心に残る一冊です。話題本というだけでなく、本当に読む価値のある作品だと思いました。