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羽仁もと子著作集(第19巻)

羽仁もと子著作集(第19巻)

羽仁もと子 婦人之友社 1955年3月1日

感想

羽仁もと子の著作集第19巻を手に取ったのは、日本の家政学・教育思想の源流を知りたかったからだ。明治から昭和初期を生きた彼女の思想には、当然ながら時代的な制約がある。しかし、実生活に根ざした実践的な思考や、家事・教育を通じた社会変革への視点は、今読んでも無視できない洞察を含んでいる。 本巻は「婦人之友」への寄稿やエッセイ集という性質上、短編の集積である。そのため、まとまった理論展開よりも、断片的な思想の提示にとどまる感が否めない。各編は読みやすく、その時々の社会問題に対する彼女のスタンスは明確だが、深い思想的な問い直しや批評的観点の鮮鋭さでは物足りない。著作集としては、やや選別や編集に工夫があってもよかったように思う。 ただし、実用的な家事・家計管理の記述や、女性のキャリアに関する提言など、歴史資料としての価値は確かにある。フリーランスとして仕事と生活のバランスを考える身としても、参考になる部分はあった。総じて、専門的な研究者向けというより、羽仁思想の入門段階として機能するレベルの一冊と言えよう。

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