はるとの本棚
キキ&ララの『幸福論』

キキ&ララの『幸福論』

朝日文庫編集部 朝日新聞出版 2014年10月7日

感想

アランの『幸福論』とキキ&ララのキャラクターを組み合わせた試みは、確かに興味深い企画だと思った。19世紀末のフランス哲学を現代に翻訳し、サンリオのキャラクターを通じて解説しようというアプローチは斬新である。 ただ、実際に読んでみると、アランの本質的な思想がやや薄められている印象を受けた。「笑うから幸せになる」という主張自体は啓発的だが、なぜそうなのか、その背景にある哲学的深さがもう一段階掘り下げられていれば、より説得力を持ったはずだ。キャラクターによる親しみやすさと、思想的な重厚さのバランスが、どちらにも振り切らない中途半端な位置に留まっている。 フリーランスとして人生の自由度が高い分、幸福論に対しては相応の期待値を持って手に取ったのだが、本書は入門書としての役割に徹しており、より深く思索したい読者には物足りない。むしろ原書に当たるか、別の幸福論の解説書を選んだ方が充実した読書体験が得られるのではないだろうか。悪くはないが、推奨できるほどでもないというのが正直なところである。