羽仁もと子著作集(第19巻)

羽仁もと子著作集(第19巻)

羽仁もと子

出版社:婦人之友社 出版年月日:1955/03/01

婦人之友社 | 1955/03/01

3.80
本棚登録:5人

みんなの感想

感想

羽仁もと子の著作集に手を取ったのは、大学時代の恩師に勧められたことがきっかけだった。新社会人となった今、彼女の思想がこれほど示唆に富んでいるとは想像していなかった。 本書は単なる家政学の指南書ではなく、人生における自己実現と社会的責任についての深い考察がある。戦前という時代背景を踏まえながら読むと、現代にも通じる普遍的な価値観が浮かび上がってくる。特に、生活を営むことの本質、そして働くことの意味についての記述は、組織人として日々葛藤している自分にとって大変参考になった。 執筆の時代と現代とでズレを感じる部分も当然あるが、そうした距離感こそが思想家としての彼女の立場をより客観的に理解させてくれる。複数の論文が収録されているため、一つの思想を多角的に追うことができるのも魅力だ。思想書としての密度が高く、読み応えのある一冊である。もっと早く出会いたかったと思うほどだ。

感想

羽仁もと子の著作集をシリーズで読み進めていますが、この第19巻もまた示唆に富んでいます。彼女の思想の一貫性と深さに改めて感動しました。 100年以上前の著述とは思えないほど、現在の私たちが直面する問題の本質を見抜いています。特に、家庭と社会の関係性、女性の自立と役割についての議論は、時代を超えた普遍的な価値を備えていると感じます。単なる歴史的資料ではなく、今を生きる私たちへの問いかけとして機能しています。 筆致は明確で論理的。複雑なテーマを体系的に整理してくださっているため、経営層として仕事をする傍らでも読み進めやすいです。また、実生活への応用可能性も高く、どのように生きるべきか、社会にどう貢献するかを考える際の道標になります。 人文系の読書家として、また現代を生きる女性として、この著作集は手放せない存在です。自分の思考をアップデートし、人生の選択を丁寧に考え直すきっかけをくれる、そういう本に出会えたことの喜びを感じています。

感想

羽仁もと子の著作集第19巻を手に取ったのは、日本の家政学・教育思想の源流を知りたかったからだ。明治から昭和初期を生きた彼女の思想には、当然ながら時代的な制約がある。しかし、実生活に根ざした実践的な思考や、家事・教育を通じた社会変革への視点は、今読んでも無視できない洞察を含んでいる。 本巻は「婦人之友」への寄稿やエッセイ集という性質上、短編の集積である。そのため、まとまった理論展開よりも、断片的な思想の提示にとどまる感が否めない。各編は読みやすく、その時々の社会問題に対する彼女のスタンスは明確だが、深い思想的な問い直しや批評的観点の鮮鋭さでは物足りない。著作集としては、やや選別や編集に工夫があってもよかったように思う。 ただし、実用的な家事・家計管理の記述や、女性のキャリアに関する提言など、歴史資料としての価値は確かにある。フリーランスとして仕事と生活のバランスを考える身としても、参考になる部分はあった。総じて、専門的な研究者向けというより、羽仁思想の入門段階として機能するレベルの一冊と言えよう。

感想

羽仁もと子の著作集を手にしたのは、フリーランスとして生きる今だからこそ、彼女の働き方や人生哲学に触れたいという思いからでした。 第19巻は、家事と仕事、自分らしい生き方についての思索が詰まった一冊。戦前の女性としての制約のなか、いかに自分の時間を創出し、社会に貢献しようとしたのか――その姿勢は現代を生きる私たちにも示唆的です。特に時間管理や家事の効率化に関する章は、実用的で参考になりました。 ただ、全体的には歴史的資料としての価値は高いものの、現代の読者にとっての問い直しが弱い印象を受けます。文章そのものも時代を反映しており、現在のような明快さや切れ味を期待すると物足りなく感じるかもしれません。 著作集ということもあり、テーマの前後があり、読み進めるには少なからぬ集中力が必要です。羽仁もと子という人物と時代に対する一定の理解があれば、より深く咀嚼できる本だと思います。研究的価値と実用性のバランスが、やや難しい一冊でした。

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